twosanの忘備録

銭湯、旅行、乗り物とかが多くなるとおもう。

ウラジオストク旅行 トラム編 2018年3月 

最近急に忙しくなって、更新が滞っております。試験勉強、卒論中間発表などなど。

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ウラジオストクには「路面電車」が走っている。路面電車と言っても路面を走る区間はほとんど無い。トラムという言葉のほうが正しいかもしれない。

ウラジオストクは駅や港の付近が栄えていて、デパートや銀行、アパレルのお店などは、駅周辺に集中している。かつてウラジオストクのトラムは駅前から出て、北や東に向かっていた。しかし2000年代に廃止が進み、今では郊外の一路線のみである。

とりあえず駅からバスに乗り、ルガバヤ市場に向かう。道路をよく見ると、線路を埋めた跡が見える。ここを数年前までトラムが走っていたと思うと、悔しい。ルガバヤ市場に近づくにつれ、はっきりと道路上に線路が露出するようになる。おそらく町の中心と違って、この付近はいいかげんに埋めたのだと思う。

ルガバヤ市場に近づく。このバスはどうやらトラムの駅の方に寄らないようなので、近い停留所で下車する。グーグルマップを見ると駅までは数100mのようである。とりあえず大きな通りを横断しなければいけない。このあたりは横断歩道も歩道橋も無い。とりあえず現地の人についていく。

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この坂を上れば、どうやら歩道橋があるらしい。しかし坂を上っても道が無い。

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なんと線路が歩道橋の代わりになっているようだ。しかも歩きやすいように線路の真ん中に板が敷いてある。ロシアでは「線路の中に入ってはいけません」という注意書きを見たことが無い。

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「歩道橋」という名の鉄橋を歩いていると、ついにトラムの線路が見えた。正直走っているか、走っていないも分からなかったので、錆びついてない線路が見えたときは嬉しかった。ちょっとすると向こうから可愛らしい一両の電車がやってきた。日本と違って電車は右側通行である。

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ルガバヤ市場につく。ここの雑然とした雰囲気はとても好きである。奥には服や野菜を売る市場が、建物の中はスマホなどを売る店が建ち並んでいる。ここはどうせ後で戻ってくるから、明るいうちにトラムに乗ろう。そう思って私は重厚なロシアおばさんに交じって、トラムの乗車列に並んだ。

「わたしの好きな歌」その1

今週のお題「わたしの好きな歌」。毎日聞きたくなるような歌、たまに聞いてなつかしくなる歌、歌詞がグッとくる歌、歌詞なんてよく分かんないけど聞いちゃう外国曲、どれも全部「わたしの好きな歌」だ。このテーマは長続きしそうなので、「その1」にしておく。では1曲ずつ。

 

銀杏BOYZ 『青春時代』

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「何で生きてるんだろう」と戸惑うことは、まぁよくある。何をしても楽しくない時期もまぁある。そんなときに聞く曲。

「あああ 僕はなにかやらかしてみたい。そんなひとときを青春時代とよぶのだろう。」

自分の人生の根本はおそらくここにある。トランプの大富豪で、自分には全然有利じゃないんだけど、同じカードを4枚出して、「革命」をしてしまう、あの感じ。(なんかショボい例えだな・・)。やらかせない人生はキツい。

 

THE BLUE HEARTS 『情熱の薔薇』

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誰でも聞いたことあると思う、有名曲。定番曲。しかし歌詞は決して定番ではない。

 

「永遠なのか本当か、時の流れは続くのかいつまでたっても変わらない、そんなものあるだろうか。見てきたものや聞いたこと、今まで覚えた全部、デタラメだったらおもしろい。そんな気持ち分かるでしょ。」

 

分かる。今ある「あたりまえ」を変えたい気持ち。やらかしたい気持ち。

 

「なるべく小さな幸せと、なるべく小さな不幸せ、なるべくいっぱい集めよう。そんな気持ち分かるでしょ。」

 

それも分かる。いつもいつも青春時代を生きていたら疲れる。

 

「答えはきっと奥のほう。心のずっと奥のほう。涙はそこからやってくる。心のずっと奥のほう。」

 

この曲の作詞作曲を手掛けた、甲本ヒロトの見解。何かやらかしたい。でも自分の身を守りたい。そんな葛藤があるときは、心のずっと奥のほうを訪ねろと言っている。

 

「情熱の真っ赤な薔薇を。胸に咲かせよう。花瓶に水をあげましょう。心のずっと奥のほう。」

 

・浅川マキ 『こんな風に過ぎて行くのなら』

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前の2曲はですっかり興奮しきったところで、こんな曲を聴く。

「今夜程さみしい夜はない。きっと今夜は世界中が雨だろう」

心が弱っている時、「頑張れ!」という救いが欲しくなる。そんな時音楽は麻薬のように働く。音楽は魔法なのか。頑張ったって、やらかせない人はたくさんいる。心のずっと奥のほうに薔薇が咲いている人は、恵まれているのかもしれない。

心が弱っている時、「頑張れ!」という救いは要らない。と思うこともある。そしてとことん、とことん地の海の底にまで落ちたくなる。もっともっともっと弱くなりたいという気持ち。そんな気持ち分かるでしょ。

そんな時、浅川マキに救われる。海の底に引っ張っていってくれるような感覚。

 

 

大森靖子 『音楽を捨てよ、そして音楽へ』

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「音楽は魔法ではない。でも音楽は」

 

 

 

 

下町散歩 2019/07/06

御茶ノ水でバイトが終わってから夜の飲み会まで、時間があったので昨日に引き続き、また東に向かって銭湯お遍路に行きました。テクテク。


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最初の銭湯、稲荷湯です。よくあるタイプのビル型銭湯です。浴室の桶の置く音、話し声が外にまで聞こえてきます。

大通りを渡ると神田の商店街に出ます。土曜の夕方からガールズバーなどのキャッチがはかどっています。

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よさそうな飲み屋がいっぱいありますが、土日は休みのようです。その隣にあったオムライス屋もclosedの看板が。ちなみにこの近くにある美味しいもつ焼き屋も土日休業です。ビジネス街なのでしょうがないですね。平日は会社帰りに飲み屋、休日は風俗なんでしょうか。東に進みます。f:id:twosan23:20190706212552j:image

次の銭湯はお玉湯です。残念ながら今日は定休日。細い路地にあるため、道に迷ってぐるぐるしてしまいました。

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神田川の末端です。この先で隅田川に合流します。このあたりは屋形船の基地になっているみたいで、あちらこちらに屋形船が停泊しています。それにしてもこのピンクの屋形船は目立ちます。ピーチエアとコラボしてるのかってくらいピンクです。それは言い過ぎですかね。でもバニラトラックよりはピンクです。

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浅草橋に出ました。服飾のお店が多いです。いろんな革の端切れ屋さん、天然石ばっかり売ってるお店、色々あります。中学の文化祭でビーズアクセサリーをクラスの出し物でやるとき、みんなで浅草橋に買い出しに行きました。その翌年はカタヌキを出店するために錦糸町に出かけました。総武線沿線の雑多な感じは好きです。
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浅草橋にも銭湯があります。これもビルの奥の方にあって、全然気付きませんでした。駅から近くて、綺麗そうな銭湯です。本当はここから電車に乗ろうと思ったのですが、飲み会が中止の連絡が入りました。せっかくなのでもっと東に行きます。


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隅田川を渡ります。さようなら江戸。こんにちは下総。今日提出の数学の課題をやっつけてから散策再開です。両国駅前のドトール、全然人がいません。土曜日ですよ。こんなに過疎ってるドトール初めてです。

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すっかり暗くなってしまいました。相変わらず東に進みます。このあたりは銭湯が多い地域なので、飽きないです。

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松の湯。一回廃業したらしいです。今は違う人が銭湯を継いでいるみたいなので、こんど事情を聞いてみます。

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ゴム風船専門店。空に舞いたくなったらここに来ます。

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高砂湯。

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亀の湯。

大きなお風呂はゆたかな心を育てる。

うーん。ありがたいお言葉。これってシャッターが閉まってないと見れないですよね?定休日で良かったです。次はやってるときに行きます。f:id:twosan23:20190706215929j:image

住吉の日の出湯でフィニッシュすることにしました。この銭湯、湯温に凝ってて熱すぎずヌルすぎず絶妙です。水枕もガンガンに冷えてて最高。昔ながらの重厚な宮造りの銭湯です。アルミさっしでなくて木製さっしなのは初めて見ました。でもものすごく綺麗です。洗い場も浴槽も水カビが全然浮いてません。凄く快適性にこだわってる銭湯だなと感じました。多分また行きます。

傘を忘れた事に気付いたので近いうちに行きます。。

 

それでは。

文京区散歩 2019/07/05

今日は一日すっぽりと予定が空いたので、午前は掃除したり、買い物したり、銀行に行ったりしました。池袋ですべての用事を済まして、時刻は15時。そのまま家に帰ってもしょうがないので、思いっきり遠回りして歩くことにしました。

サンシャインを出て、とりあえず東に歩きます。サンシャインの向かいにあった造幣局は解体が終了し、更地になっています。将来的には公園や大学のキャンパスになるそうです。

造幣局跡地をさらに東に進み、坂を下ると都電が走っています。向原→鬼子母神間は新しい道路の建設の影響で、都電も移設、改良工事が進み、すでに沿線の住宅は全て撤去が進んでいます。10年以上前ですが、東池袋付近は線路沿いに住宅が密接していたため、線路を道路として使っている住民がいました。「線路を歩いてはいけません」という看板がありましたが、線路を歩く人がたくさんいたからそんな看板もあったんですね。

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向原停留所付近

都電の線路を渡ると、商店街に出ます。といっても今は商店はほとんど無く、住宅やマンションが多いみたいです。しかしこの通り沿いには昔ながらの銭湯があります。名前は「君の湯」。サンガリアから「あなたのお茶」というお茶が出てますが、こうやって勝手に決めつけてくるの、好きですよ。君の湯はどっからどう見ても銭湯ですが、実は東京都浴場組合に所属していない珍しい銭湯です。そのため入浴料も東京都の均一料金でなく、ちょっと安いです。以前一度行ったことがありますが、本当に普通の銭湯です。全店で使える回数券が使えなかったりするくらいで、特に大きな違いはありません。脱衣場には東京都浴場組合のポスターが貼ってあるので、以前は組合に入っていたはずです。

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君の湯

散歩のプランを変えました。銭湯を線で結んで、外観を撮影して行き、もし疲れたらその銭湯に入って帰宅することにします。地図で見ると、近くに大黒湯という銭湯があるみたいです。ここに向かいます。

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大黒湯

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素敵すぎるドーム

大黒湯に着きました。最高です。昔ながら東京の銭湯は、湯気抜きのために高天井になっているものが多いですが、こんなおしゃれなドーム型になっているのは初めて見ました。今度是非是非取材に行ってみたいです。次の銭湯まではちょっと離れてるみたいなので、適当にそっちの方向を目指して歩きます。近づいてきたら方向修正すれば良いのです。

雰囲気が良さそうな庭園があったので、寄り道します。占春園と呼ばれ、入り口の看板によると「徳川初期につくられた庭園」だそうです。庭園全体が坂になっていて、下ると池が広がっています。すると池の向こうで子供たちが何やら集まって、はしゃいでいるのが見えます。近づいてみて分かりました。なんとザリガニ釣りをしています!しかも餌はファミリーマートブランドのサキイカ。誰が一番大きいザリガニを釣るか競い合っているみたいです。写真を撮っていると一人の男の子がこっちに寄ってきました。「これ俺が釣った、ザリガニ!」。

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ザリガニ釣り!

庭園を抜けると、今度は小石川植物園が見えます。東京って自然が豊富だなって思います。この辺りは閑静な住宅街で、公園は子連れの親が集まっています。よく見るとママ友の輪に中には、ちらほら外国人もいます。子供達も、金髪の女の子と、黒髪の女の子が一緒にブランコを楽しんでいます。インターナショナルな町、東京の光景です。

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旧字体で書かれたマンホール

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ポ、リ、ス

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なんか怖い。。

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古そうな教会

小石川植物園付近の住宅街をとぼとぼ歩きます。ようやく銭湯の煙突が見えました。近そうです。でも全然銭湯が見当たりません。細い路地に入ったりしても入り口がありません。右往左往してたらありました。マンションの一階です。看板も無いので気づきませんでした。。

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白山浴場

歩き始めて2時間、少し疲れてきました。でも近くに富士見湯という銭湯があります。富士見湯は以前行ったことがありますが、夜だったので外観は撮っていません。とりあえず歩きます。

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富士見湯

東京銭湯の宮造りの原型が、ほぼそのまま残っています。東京たてもの園にあってもおかしくないレベルです。17:45に撮影してますが、写真の通り銭湯の前にはたくさんの自転車が並んでいます。撮影している間も多くのお客さんが出入りしていましたが、お年寄りが多かったです。今文京区の銭湯は4軒しかありません。私は行くことが出来ませんでしたが、ついこの間の3月31日まで歌舞伎湯という銭湯が、この付近にありました。今日行った銭湯は、どこも賑わっていました。しかし賑わっていたとしても、店主の高齢化、建物の老朽化で廃業になる銭湯もあります。

さて文京区銭湯巡り、今度は駒込の「ふくの湯」を目指し、歩いていたのですが、途中で限界。左手に靴箱とか持って歩いてましたからね。それにふくの湯は一度行ってますし、写真も撮ってるはずです。午前中からやっている珍しい銭湯なので、多分また行くと思います。

それではおやすみなさい。

 

 

ウラジオストク旅行 ウスリースク編 2018年3月

ウラジオストクを早朝に出て、2時間半、極東の小都市ウスリースクに着いた。時刻表を見ると長距離列車は一日7本ほどある。シベリア鉄道をひたすら上っていく列車だけでなく、日本海沿いの港湾都市ナホトカに行く列車、そして南下し北朝鮮豆満江行きの列車が時刻表に出ている。豆満江行きの列車は不定期で、ピョンヤンに行ったり、逆にロシア国内で終点になったりする。

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ようこそウスリースクへ。

駅前に出る。雪を被ったレーニンが、ウスリースクへの到着を歓迎している。初めて台湾に行き、西部の小都市で降りたとき、駅で出迎えたのは孫文だった。それも昔の話で、今は台湾を旅行しても孫文蒋介石は全くみかけない。レーニンソ連崩壊と共に、ロシアの地から退場したはずだった。極東ではなぜか鎮座し続けている。

ここは町の中心部では無いため、エレクトリーチカから降りた乗客は町に出るため、バスへと向かっている。バスに乗ると車掌さんが切符を売りにきた。14ルーブルを払うと、腰にロール状にまいた切符を千切って渡してくれた。まさか車掌がいるとは思わなかった。ウラジオストクのバスはワンマンで、下車時に運転手にお金を渡す。値段も16ルーブルと、ウスリースクより少し高い。

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キタイスキー市場

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中国語で書かれた張り紙

ウスリースクはインターナショナルな都市だ。朝鮮、中央アジア、さらには中国とも近いため、中国の人もいる。駅から20分ほどバスに乗り、キタイスキー市場に到着した。キタイスキー市場は「中国人市場」という意味で、中国の人が商売をしている。平日の午前中だからか、人はあまり多くない。この市場では主に衣料品を扱っている人が多いようである。ただ特にこれ以上見るものはないと思い、国際バスセンターに向かうことにした。

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ソ連型団地

典型的な無機質なソ連型団地が並ぶ。かつてセンター試験の地理で、こういった団地が並んでいる写真が出て、どこの都市か選ばせる問題が出題された。(答えはモスクワだった)。かつてソ連だった中央アジアウズベキスタンでも全く同じ街並みが広がっていたと聞いたことがある。ウスリースクはソビエトの雰囲気が色濃く残る街である。

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ウスリースク長距離バスターミナル

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国際バス時刻表

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国際バス切符売り場

ウスリースクのバスターミナルに着いた。ここからはウラジオストクやナホトカなど市外に出るバスが出ている。さらに中国の東寧、牡丹江、ハルビン、綏芬河、延吉などに行くバスもある。このバスを使えば、ロシアから入って中国から出る旅程も組める。しかし電子ビザは現在、中露の自動車道での出入国を認めていない。極東付近を自由に旅行するのはまだまだ制約が大きい。

 

 

 

富山旅行1 2018年10月

いつからだろうか。旅行にワクワクしなくなってしまった。ワクワクしないというよりドキドキしなくなった。

中学一年生の夏、友達二人と長野県の上田に行く計画を建てた。大人のいないはじめての遠出。友達と電車やバスの時刻を調べ、乗り継ぎを検索している、その瞬間がとても楽しかった。前日からそわそわし始めて、眠れなくて、結局待ちきれなくて朝の3時くらいから友達と合流して、初電車に乗った。見慣れない電車から見える、見慣れない景色。テーマパークにいるような感覚。夢の時間はあっという間に過ぎ、帰宅してどっと疲れが出た。

そういうドキドキがいつの間にか無くなってしまった。というよりも求めていないのかもしれない。旅を「非日常の空間」として切り離すのがどうも苦手だ。中国の大連で、バイト先からの電話を受けている時、氷点下7度のロシアの小都市で大学の成績を確認している時、チェコのホテルで履修登録をしている時、そういった時間が結構好きなのかもしれない。世界を「見ている」のでなく、そこに「いる」という感覚。あくまでも冷静に。

テーマパークは外に出た時が恐ろしい。ディズニーカチューシャを付けたままでも、京葉線京葉線

金曜日は毎週夕方まで大学の授業があって、そのあとは東大和市で家庭教師のバイトをすると決まっていた。バイトが終わるのが22:30。中央本線を西に行き、北アルプスの麓、白馬まで行く夜行列車が立川を発車するのが24:30。東大和市から立川まではバスが通っていて15分ほどで行ける。立川で1時間以上は余裕があるからこの間に、土曜日提出の小レポートを終わらせよう。そんな完璧なスケジュールが建った。目的地は富山。翌朝に仙台から来る友達と合流する予定である。

出発当日。スケジュールは計画通りに終わった。あとは夜行列車で一晩過ごすためのアイテムを調達しにいくだけである。夜の立川。コンビニの入り口に張って、出入りする客を勧誘するキャッチ。やはりこの町はちょっと違う。以前、立川付近のバスに乗った時に、床で半寝しているカップルを見たことがある。遠くに行かなくても十分に非日常の空間だ。

20分ほど遅れて夜行列車、ムーンライト信州号が立川に入線。ここで新宿から乗車している友達と合流する。友達もビールやらハイボールやらを買い込んできた様。車内はそこそこ埋まっているが、満席という感じでは無く、八王子で下車する人もいる。その後も車内の電気は消えることなく、甲府を過ぎても山間の駅にいくつか停車していく。大きなリュックを背負った登山客がポツリ、ポツリと降りていき、塩尻に着く頃には大分空席が目立つようになった。

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クルテクは夜も元気!

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塩尻駅で一休み。

塩尻を過ぎて、ムーンライト信州号は中央本線を離れ篠ノ井線大糸線へと向かう。少しずつ空が明るくなってくると、深夜テンションも切れ、頭が寝る寝るモードに入ってくる。しかし寝る寝るモードの時に、寝るタイミングを逃すと今度は、なんだか眠くないような気がするモードに入る。気が付くと車窓から、美しい木崎湖が見え、あっという間に白馬駅に到着してしまった。結局ほとんど寝れなかった。

白馬駅から北上する列車はまだしばらく来ない。そのため一旦下車し、白馬を歩くことにした。まだ薄暗い町を歩いていると、向こうに川が見える。今度はその川に沿って歩くと、少し開けた場所に出た。その場所で横になって、日が出るのを待つ。だんだんと山の稜線が見えてきた。そして陽が昇り切った時、険しくて実に雄大なアルプスに圧倒された。もうすっかり眠くない。

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白馬駅

駅前で朝からやってる蕎麦屋を見つけ、朝ごはんを食べる。月見そば、なかなかうまい。白馬駅には南小谷行の電車がすでに到着しているようだ。2両編成のワンマン電車は時刻になるとベルも鳴らさず発車した。

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電車は新潟方面へと向かう。

ウラジオストク旅行 シベリア鉄道編 2018年3月

ウラジオストク駅からは様々な方面に向かう列車が出ている。例えばシベリア鉄道を完走するモスクワ行きの列車は一日一本から二本出ている。モスクワまで行かずとも西に向かう列車が数本、北に向かいサハリンの対岸まで行く列車が一本ある。こういった長距離を走る列車は荷物車、食堂車、寝台車など20両近く連ねて、夕方から夜にかけウラジオストクを出発する。

しかしウラジオストクからはエレクトリーチカと呼ばれる近郊電車も出ている。「近郊電車」と言っても、終点まで5時間程かかる電車もあれば、空港まで1時間程走って終点になる電車もある。方向や行き先は様々だ。

電子ビザは沿海州と呼ばれるロシアの極東だけに有効なビザであるため、沿海州から出ることは出来ない。しかしロシアに来たからにはシベリア鉄道には乗ってみたい。そこで僕はエレクトリーチカに乗って、ウスリースクという町まで行き、シベリア鉄道を少しかじることにした。

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早朝のウラジオストク

朝6:30ごろウラジオストク駅に到着した。空も暗く人も少ない。ウスリースク行列車は6:45発車の予定。駅の時刻表を確認する。

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ウラジオストク駅発車時刻表

23:45発ウスリースク行、15番線からの発車らしい。23:45発というのは「モスクワ時間」で、現地時刻は6:45発である。これはロシアの鉄道は複数のタイムゾーンをまたぐ列車が多いため、モスクワ時間が採用されているからである。しかしやっかいなことに駅には現地時刻で書かれた時刻表も存在する。要するに察しろということ。

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通勤客か?

ウスリースク行のエレクトリーチカは何もアナウンスが無いまま、ドアが閉まり定時に発車した。車内は通勤客がそこそこ席が埋まっている。ロシアの鉄道は駅に入るのに改札が無い。そのため車内で切符を確認する。車掌は新人と思われる若い女性と、恰幅の良いベテランおばさんの二人態勢。駅を出て数分後に検札が始まった。

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ウラジオストクを出て10分程すると左手に日本海が見えてくる。しかい3月の極東の海は、海ではなくて氷の平原だ。凍った海の上に、何本か轍が見える。シベリアの凍った海は自動車が通ったくらいでは割れないくらい分厚いらしい。エレクトリーチカはウラジオストク近郊の駅を丁寧に一つづつ停車していく。

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小休止?

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これは大休止

30分もすると、乗客は減り、停車する駅の間隔も長くなった。車掌も一仕事終え、小休止。ベテラン車掌は切符を発券する端末も放り出しひと眠り。車窓には、針葉樹林と雪原が広がる。たまにポツンポツンと家が見える。家の前にはちょっとした菜園が広がる。これはいわゆるダーチャと呼ばれる別荘に違いない。ロシア人は平日は職場に近い都心の集合住宅で暮らす。休日は郊外の別荘に行き、バーベキューをしたり家庭菜園で野菜を作ったりしてのんびり過ごす。ウラジオストクのホームセンターにもダーチャグッズのコーナーがあった。桑やスキ、スコップ、作業着など色んなアイテムを取り揃えていた。

そういえば、就職活動中にグループディスカッションと呼ばれ、あるお題に対しグループで結論を出すという選考を受けていた時のことを思い出す。その時のお題が「都心に住むべきか、田舎に住むべきか」というお題だった。僕は「ロシアにはダーチャという文化がある。田舎か都市か、でなく両立するという選択肢もあるのではないか」と提案した。すると他のグループメンバーは険しい表情を浮かべる。「あの、グループディスカッションなんで、一つの結論を出さないと。。」とメンバーに言われた。どうやらグループディスカッションというのは、どちらか一つの結論を出すというのが「お作法」らしい。そういった暗黙のお作法を守らない人は「クラッシャー」と呼ばれ、グループの調和を乱す厄介な存在になるらしい。僕はそんなことも知らずいつの間にかクラッシャーになっていたようだ。まぁ結局その会社からは内定が出たので、何が正解なのかは分からない。

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ウスリースクに到着

とにかく、あまり変わり映えの無い景色が続き、電車はウスリースク駅に到着。ウラジオストク駅から2時間半の旅だったが、シベリア鉄道を体感するのには程よい時間だ。モスクワまで、これが6日間も続くと思うと気が狂いそうである。