twosanの忘備録

銭湯、旅行、乗り物とかが多くなるとおもう。

ウラジオストク旅行 シベリア鉄道編 2018年3月

ウラジオストク駅からは様々な方面に向かう列車が出ている。例えばシベリア鉄道を完走するモスクワ行きの列車は一日一本から二本出ている。モスクワまで行かずとも西に向かう列車が数本、北に向かいサハリンの対岸まで行く列車が一本ある。こういった長距離を走る列車は荷物車、食堂車、寝台車など20両近く連ねて、夕方から夜にかけウラジオストクを出発する。

しかしウラジオストクからはエレクトリーチカと呼ばれる近郊電車も出ている。「近郊電車」と言っても、終点まで5時間程かかる電車もあれば、空港まで1時間程走って終点になる電車もある。方向や行き先は様々だ。

電子ビザは沿海州と呼ばれるロシアの極東だけに有効なビザであるため、沿海州から出ることは出来ない。しかしロシアに来たからにはシベリア鉄道には乗ってみたい。そこで僕はエレクトリーチカに乗って、ウスリースクという町まで行き、シベリア鉄道を少しかじることにした。

f:id:twosan23:20190702153837j:plain

早朝のウラジオストク

朝6:30ごろウラジオストク駅に到着した。空も暗く人も少ない。ウスリースク行列車は6:45発車の予定。駅の時刻表を確認する。

f:id:twosan23:20190702154123j:plain

ウラジオストク駅発車時刻表

23:45発ウスリースク行、15番線からの発車らしい。23:45発というのは「モスクワ時間」で、現地時刻は6:45発である。これはロシアの鉄道は複数のタイムゾーンをまたぐ列車が多いため、モスクワ時間が採用されているからである。しかしやっかいなことに駅には現地時刻で書かれた時刻表も存在する。要するに察しろということ。

f:id:twosan23:20190702191657j:plain

通勤客か?

ウスリースク行のエレクトリーチカは何もアナウンスが無いまま、ドアが閉まり定時に発車した。車内は通勤客がそこそこ席が埋まっている。ロシアの鉄道は駅に入るのに改札が無い。そのため車内で切符を確認する。車掌は新人と思われる若い女性と、恰幅の良いベテランおばさんの二人態勢。駅を出て数分後に検札が始まった。

f:id:twosan23:20190702192051j:plain

ウラジオストクを出て10分程すると左手に日本海が見えてくる。しかい3月の極東の海は、海ではなくて氷の平原だ。凍った海の上に、何本か轍が見える。シベリアの凍った海は自動車が通ったくらいでは割れないくらい分厚いらしい。エレクトリーチカはウラジオストク近郊の駅を丁寧に一つづつ停車していく。

f:id:twosan23:20190702192756j:plain

小休止?

f:id:twosan23:20190702192821j:plain

これは大休止

30分もすると、乗客は減り、停車する駅の間隔も長くなった。車掌も一仕事終え、小休止。ベテラン車掌は切符を発券する端末も放り出しひと眠り。車窓には、針葉樹林と雪原が広がる。たまにポツンポツンと家が見える。家の前にはちょっとした菜園が広がる。これはいわゆるダーチャと呼ばれる別荘に違いない。ロシア人は平日は職場に近い都心の集合住宅で暮らす。休日は郊外の別荘に行き、バーベキューをしたり家庭菜園で野菜を作ったりしてのんびり過ごす。ウラジオストクのホームセンターにもダーチャグッズのコーナーがあった。桑やスキ、スコップ、作業着など色んなアイテムを取り揃えていた。

そういえば、就職活動中にグループディスカッションと呼ばれ、あるお題に対しグループで結論を出すという選考を受けていた時のことを思い出す。その時のお題が「都心に住むべきか、田舎に住むべきか」というお題だった。僕は「ロシアにはダーチャという文化がある。田舎か都市か、でなく両立するという選択肢もあるのではないか」と提案した。すると他のグループメンバーは険しい表情を浮かべる。「あの、グループディスカッションなんで、一つの結論を出さないと。。」とメンバーに言われた。どうやらグループディスカッションというのは、どちらか一つの結論を出すというのが「お作法」らしい。そういった暗黙のお作法を守らない人は「クラッシャー」と呼ばれ、グループの調和を乱す厄介な存在になるらしい。僕はそんなことも知らずいつの間にかクラッシャーになっていたようだ。まぁ結局その会社からは内定が出たので、何が正解なのかは分からない。

f:id:twosan23:20190702194838j:plain

ウスリースクに到着

とにかく、あまり変わり映えの無い景色が続き、電車はウスリースク駅に到着。ウラジオストク駅から2時間半の旅だったが、シベリア鉄道を体感するのには程よい時間だ。モスクワまで、これが6日間も続くと思うと気が狂いそうである。