twosanの忘備録

銭湯、旅行、乗り物とかが多くなるとおもう。

北関東ドライブ 行田編

JR高崎線に沿って走る国道17号は道幅も広く走りやすい道だ。対照的に17号線と並ぶ、中山道は昔ながらの街道の雰囲気を残している。桶川付近なんかは、重厚な佇まいの老舗旅館が未だに健在で、宿場町の名残が感じられる。鉄道や高速バスではこういった景色は眺められない。

車は埼玉県行田市に向かっていた。行田は城下町として発展し、江戸時代以降足袋の生産で栄えた。今でも街中には足袋を保管していた蔵がたくさんある。また市街地の周辺にはさきたま古墳と呼ばれる古墳群がある。これだけ観光資源があるが、高崎線のルートからは外れているため、都心に直結しておらず、知名度もいまいちだと感じる。

大宮を朝10時半に出て、行田に着いたのは昼12時。とりあえず車を秩父鉄道行田市駅前の駐車場に止め、散策をする。スマホで近くに肉屋が無いか検索する。ここ行田には「ゼリーフライ」と「フライ」という独特な食べ物がある。ゼリーフライとフライは名前は似てるが全く違う。ゼリーフライはコロッケのような揚げ物だが、フライは薄いお好み焼きのような、ソース味のクレープのようなそんな感じの食べ物だ。

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駅から5分くらい歩いて、鳥正本店というお肉屋さんに着いた。ゼリーフライ2つ下さい、と言うと今から揚げるからそこで待ってて、と言われた。店主は30代ぐらいだろうか。それにしても一枚70円は安い。

B級グルメの中には、「作られた」ものもあると聞きますが、ゼリーフライは本当に地元で食べられているものなんですか?」

「そうですよ。行田では昔から給食に出たり、おやつで食べたりしてます。」

ゼリーフライは何で出来てるんですか?」

「おからとジャガイモを混ぜたものを衣をつけずに素揚げしてるんです。」

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初めてゼリーフライを食べてみる。全体的にウスターソースの味がする。揚げたあとソースに浸しているのか。聞きそびれた。コロッケと比べて衣が無い分食べやすい。でもしっかり揚げてあるから、外はカリッ、中はフワッとといった感じ。これは美味しい。個人的にはコロッケやメンチカツより美味しい。ご飯のおかずにもなりそう。地元ではご飯と一緒に食べてるんじゃないかな。これもまた聞きそびれた。

店主はフライについても熱く語ってくれた。

「フライも子供の時から良く食べていました。フライの中に焼きそばを挟む食べ方が定番ですね。」

「おすすめのフライのお店はありますか?」

「深町フライ店ってとこが美味しいです。でも普通の家の一階で営業してるので、通りすぎちゃうかもしれません。」

そう言って、お店までの道のりを丁寧に教えてくれた。

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教えてもらったとおりに、歩いて無事に深町フライ店に着いた。これは確かに分からない。この店を知らなければ、確実に素通りしてしまうだろう。しかし店の中は賑わっている。奥のテーブルはお年寄りが集まって談笑している。手前のテーブルは昼休みのサラリーマンのグループ、5人が座っている。本当に地元の人が食べにくるお店のようだ。


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フライ小300円、安い。ゼリーフライを食べて少しお腹は満たされたので、二人でフライとやきそばをシェアすることにした。


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皿からはみ出るフライ。これでも小サイズである。ちなまにあとからやってきたサラリーマンは、思い切って大サイズを頼んでいたが、フライが食卓にやってくると「いやぁ、やっぱ中にしておけばよかったかなぁ」と口をこぼしていた。

フライを一口。うん、これも上手い。お好み焼きみたいに生地が厚くないからとても食べやすい。まさにソース味のクレープと言った感じ。

「昔は新聞紙に巻いてたのよ」

奥の厨房にいた女性が、僕たちのところにやってきて、フライの歴史を語ってくれた。

「フライは足袋工場の女工さんが気軽に食べれるように誕生したものなのよ。具無しで味も醤油味のシンプルなもので、新聞紙にまいてクレープのように提供してたの。」

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今度は奥からお年寄りが話しかけてくる。

「館林の蕎麦はうまい。熊谷のうどんはまずいよ。」

また来ますと言って深町フライ店を出た。行田にはゼリーフライを売る店、フライを提供する食堂が何店舗もあるという。鳥正本店も深町フライ店もまた来たい。でも他のお店の味も気になる。次来るときはうんとお腹を空かせて来ようと思った。